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[ブログ] めっき速度 ー ファラデーの法則(亜鉛めっきの場合)

前回に引き続き、電気めっきの特徴になります。

めっき加工の生産現場においては、めっきにかかる時間の把握は、生産スケジュールおよび品質管理上、重要な要素となります。

めっきにかかる時間は、ファラデーの法則(ファラデーの電気分解の法則)による計算式から、析出する膜厚との関係性で割り出すことができます。
ファラデーの法則には、次の2つの法則があります。(出典:Wikipedia)

    [第一法則] 析出(電気分解)された物質の量は、流れた電気量に比例する。
    [第二法則] 電気化学当量は化学当量に等しく、同じものである。

これらの法則を元に、めっき金属の原子量とイオンの価数(原子価)、流した電流量とめっき時間から、析出量を求めることができます。(次式)


   [計算式] 析出量 = 1g当量 × 電気量 / 96500


さらに単位面積あたりの析出量を密度で割ると、めっき厚さに換算できます。

例えば、めっき時間を20分間(1200秒) とした場合、以下のような数式によりめっき膜厚を算出できます。

 
【亜鉛めっきの場合の計算に使用する値】
亜鉛の密度 7.14[g/㎥]
亜鉛の原子量 65.38
亜鉛の原子価 2
ファラデー定数 1[F] = 96500[C]
亜鉛の電流密度(酸性浴) 2[A/㎠]
電流を流す時間 1200[s]



 式: 析出量 = 1g当量 × 電気量 / 96500 = 65.38/2 × 2[A]×1200/96500=0.814[g/100㎠]


上記式で算出した値は 100[㎠] あたりの析出量になるため、単位をそろえた上で亜鉛密度で除算することで膜厚を算出します。


 式: 膜厚 = "析出量" / "亜鉛密度" = 0.814[g] / 100[㎠] / 7.14[g/㎥] = 0.00114[cm] = 0.0000114[m] = 11.4[μm]


このように電流を流す時間から膜厚を算出することができますが、めっき金属やめっき浴の種類(酸性かアルカリ性か)、析出時のイオン価数やめっきの電流効率を考慮する必要があり、多くの場合、このような計算式から算出される理論値と実際の膜厚とは異なります。膜厚をどのようにコントロールするかは、各生産現場でのノウハウとなります。



[参考文献]
図解 めっき技術の基礎 (株式会社ナツメ社) (ISBN978-4-8163-6183-8)
図解入門 よくわかる最新めっきの基本と仕組み (株式会社秀和システム) (ISBN978-4-7980-4560-3)
2020年05月26日 09:43
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